問い合わせのきっかけ|「掃除しても、臭いだけが残るんです」
今回のご相談は、長野市内の賃貸物件オーナー様からでした。
退去後に通常の空室清掃は実施したものの、内見のたびにこう言われるそうです。
「部屋はきれいだけど、タバコの臭いが気になりますね」
壁紙も床も目立つ汚れはない。それでも決まらない。
その理由が“臭い”にあるのではないか、というところから相談が始まりました。
現地での違和感・初期判断|見た目よりも空気が重い
現地に入った瞬間、強烈なヤニ臭があるわけではありませんでした。
しかし、部屋に数分立っていると、鼻の奥に残る独特の重さがあります。
壁紙は白く見えるものの、近くで見ると薄く黄ばみ、天井にはうっすらとヤニの影。
床はカーペットで、表面はきれいでも、臭いを溜め込みやすい状態でした。
ここでの初期判断は明確でした。
これは清掃の問題ではなく、「素材に染み込んだ臭い」の問題だと。
比較した選択肢|やらなかった案
オーナー様と一緒に、考えられる選択肢を整理しました。
・消臭剤や芳香剤で様子を見る
・もう一度、強めのクリーニングをかける
・クロスをすべて張り替える
・消臭を前提にした「再生リメイク」を行う
芳香剤や一時的な消臭は、内見直前には効きますが持続しません。
全面張り替えは確実ですが、コストが大きくなります。
最終的に残ったのが、張り替えずに再生する塗装リメイクを軸にした消臭再生でした。
判断軸と意思決定|基準は「臭いの元を断てるか」
今回の判断軸は、費用や見た目よりも一点でした。
・臭いの原因そのものに手を入れられるか
・次の入居者が“生活できる”と感じるか
・過剰な工事になっていないか
タバコ臭は、表面ではなく、壁紙や下地、床材に染み込んでいます。
だからこそ、臭いを覆うのではなく、分解・封じ込める方法を選びました。
最終判断と条件付きの結論|塗装リメイク+床の見直し
最終的な結論は次の通りです。
・壁と天井は、クロスを剥がさず再生塗装
・塗料は消臭・抗菌性能を持つものを使用
・床はカーペットを撤去し、フローリングへ変更
・仕上げに全体の消臭処理を実施
条件としてお伝えしたのは、「新品にする」のではなく、臭いが気にならない生活空間に戻すというゴール設定です。
施工内容と現場の工夫|“塗る前”が9割
まず行ったのは、ヤニ汚れの除去です。
いきなり塗ることはせず、壁と天井を丁寧に洗浄し、ヤニ成分をできる限り落としました。
その後、臭い戻りを防ぐ下塗りを行い、消臭・抗菌性能を持つ塗料で仕上げます。
ここでのポイントは、厚塗りせず、ムラなく仕上げること。
床については、カーペットを撤去。
下地の状態を確認し、問題がないことを確認したうえでフローリングを施工しました。
木の素材に変えることで、視覚的な印象だけでなく、空気感も軽くなります。
仕上がりとお客様の反応|「別の部屋みたいですね」
施工完了後、オーナー様が部屋に入って最初に言われたのが、
「入った瞬間、臭いがしないですね」
見た目の白さ以上に、空気が変わったことを実感された様子でした。
後日、内見に来た方からも「タバコの部屋だったとは思えない」と言われ、無事に入居が決まったとご連絡をいただきました。
同じ悩みを持つ人への一言|タバコ臭は“掃除”では終わらない
タバコ汚れの部屋でよくあるのが、「きれいにしたのに決まらない」という悩みです。
その多くは、汚れではなく、臭いが残っているケースです。
消臭スプレーや清掃で限界を感じたら、一度「素材そのものをどう再生するか」という視点で考えてみる価値はあります。
全部を張り替えなくても、正しい手順を踏めば、部屋は十分に生まれ変わります。
次に住む人が、「ここで暮らせそうだ」と感じられるか。
判断基準は、そこだけでいいと思います。